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日々の出来事等を徒然と。偶に鬱状態になるので御注意下さい。   
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暗がりの中少女は大鍋を掻き回していた。
「真龍、何作ってるの?」
真龍は後ろを振り返り笑みを浮かべ其処に立つ双子の名を呼ぶ。
「あら、心愛に心。今実験中なの!」
心が聞き返す。
「実験?」
「そ、実験!」
二人は真龍が掻き混ぜる鍋を覗き込む。
中は小麦色の液体が満たされている。
すると真龍は自分の腕にナイフを突き立てた。
そしてグリグリと抉る。
二人は特に動揺する様子はなく真龍に訊く。
今度は心愛が言う。
「楽しい・・・?」
その問いに真龍はニコやかに答える。
「ええ、楽しいわよ。」
すると真龍はさっき抉った腕から滴る血を鍋に入れる。
「これで完成♪」
真龍は嬉しそうに自分の作った鍋の中のモノを見る。
瞬間鍋の中のモノが光った。
そして鍋の中のモノはグネグネと蠢き始め次第に形を作り出す。
それが何の形になるのか感付いた心愛は真龍に訊く。
「これ・・・真龍の人形・・・?」
心愛の言葉に一瞬驚くが流石ねと言うような表情で答える。
「そうよ。これで実験が出来るのよ!」
真龍の形を持った人形に真龍が話しかける。
「起きなさい。」
真龍のその言葉に反応したかのように人形は閉じていた眼を開く。
真龍は声が聞こえている事を確認すると人形の頬に手を当て続ける。
「お前には調べて貰いたい事があるの。新しく死神になった天音殺鬼について・・・
あの子の実力が知りたいの・・・だから、彼女を少し甚振って頂戴。」

殺鬼が通学路を歩いていると後ろから声がした。黒寿だ。
「やぁ殺鬼。今日から夏服だね~何だかドキドキするよ!」
殺鬼は溜息混じりに「ああ」と返す。
黒寿が一体何にドキドキしたのか、夏服とはそんなにも珍しい物なのかと
脳内では黒寿の言葉の意味を考えたが、動でも良いと思い考えるのを止めた。
「さ~て行こうか!」
黒寿のテンションの高さに鬱陶しさを覚えたが気にするのも面倒なので言わない事にした。
不意に何かの視線を感じ振り返る。だが後ろには誰も居ない。
殺鬼は疲れているのかと思い頭を掻く。
「如何したの?」
殺鬼の様子が気になってか黒寿が尋ねる。
殺鬼は誰かの視線を感じた様な気がしたとは言わず一息おいて答える。
「-・・・何でも無い。」
殺鬼達が立ち去るのを確認すると木の上から視線の主が現れた。
殺鬼の姿を確認するとぽつりと呟く。
「ターゲット・・・確認・・・・」

学校に到着すると殺鬼は黒寿と教室に向かう。
殺鬼が席に着こうとすると前の席の絆の様子が可笑しい事に気付き、声を掛ける。
「・・・絆・・・?」
絆は机に突っ伏したまま動こうとしない。再度声を掛ける。
「絆?如何した?」
「あ。」
殺鬼の声が聞こえたのか絆は気だるそうに伏せていた上体を起こす。
顔を上げた絆の眼は半眼状態でいまにも眠ってしまいそうだ。
殺鬼の問い掛けに答える。
「何か、朝から調子悪くてな・・・」
「風邪か?」
「違う・・・」
間をおいて話を続ける。
「風邪とかそういうのじゃなくて・・・・変なんだ。」
「どういう風に変なんだ?」
「何か何時もちゃんと起きれるのに今日は中々起きれなかったし・・・・
家の廊下で滑って転ぶし・・・不良に絡まれるし・・・」
「だらしないだけじゃないのか?」
「んな事はない!」
「不良は倒したんだろう?」
「まぁな。暫くは歩けねぇだろ。」
「良かったな」
「・・・・けどやっぱ可笑しいぞ。昨日までこんな事なかったのに・・・
何かに呪われてんのかな?」
「!?」
絆のその一言に反応したのか急に殺鬼が尋ねる。
「絆・・・」
「何?」
「今日、絆の家に行っても良いか?」
突然何を言い出すのかと思ったが突っ込む気力も無いので
疑問抱いたまま答える。
「?別に良いけど・・・」
「そうか-・・・」
そう言って殺鬼は自分の席に座った。

昼休み。黒寿が殺鬼に言う。もう何度目かも解らない言葉を。
「殺鬼・・・・何度も言うけど時間厳守だよ。」
「くどい!何度も言われなくとも解っている!」
同じ事を何度も言われた所為か殺鬼は不機嫌だ。
折角の昼食も美味しく思えない程不愉快だった。
黒寿に絆の家に行くと言った途端に時間厳守だと言いつづける。
今朝はあんなにも上機嫌だったのに・・・
「草凪絆が気になるの?」
「まぁな」
「だから調べに行くの?」
「ああ」
「時間厳守だよ!」
「解っている・・・・」
殺鬼の機嫌等気にする事も無く訊く。
殺鬼は何時もより素っ気無く答える。

放課後、昇降口で殺鬼は絆と合流。
二人は特に何か話すわけでもなく唯草凪家に向かって歩くだけ。
道行く人が無口なカップルね~となどと言っていっても気にも留めない。
それ程二人は疲れているのだろう。
暫くすると草凪と書かれた表札が見えた。
どうやら此処が絆の家らしい。
全体的に白く、庭には緑が満ちていた。
車庫があるが絆の両親は海外出張などで殆ど家に居ないので
車庫は倉庫代わりになっている。
玄関まで案内され家の中に上がると無言のまま棒立ちしていた。
「そんな所に立ってないで座れよ」
「ああ」
絆がちょいちょいと手招きする。
手招きに応じて絆の座るソファーに腰掛ける。
「何か飲むか?」
「ああ」
「何にする?」
「何でも良い」
「何でも良いって・・・」
殺鬼の何時にもまして素っ気無く少ない言葉に如何したものか頭を掻く。
「まぁ良いか。一寸待ってろ」
「ああ」
絆の質問よりも絆の家の物を見る。
さっきから返事が素っ気無いのはその為だ。
リビングには特に怪しい物は無く気にしすぎたと溜息を吐く。
(怪しい物は無い・・・だがこの空間は明らかに外の空間と違う・・・
何か手掛かりは無いのか・・・)
殺鬼が考え込んでいると玄関から声が聞こえる。
「只今~」
幼げな少年の声だ。
廊下を歩く足音が近付いて来る。
歩幅がせまいのか歩数が多い。だが音は小さい。
扉をゆっくり開けるその小さな少年を見る。
「ん?聖帰ってきたのか?」
扉が開く音で気付いたのか紅茶の準備をしていた絆が手を止める。
再び紅茶を淹れる準備をしてリビングへ向かう。
「天音~飲み物持って来たぞ~」
殺鬼が振り返る。
「ああ・・・済まないな・・・それより絆この小さい子は?」
「あ~聖だよ。俺の弟だ。」
聖と呼ばれたその少年は上目遣いに殺鬼を見詰める。
確り手入れされたサラサラの茶毛に大きな蒼い眼、細い体・・・・
「あの、草凪聖です。」
そして少年独特の甘い声。
「天音殺鬼だ。」
殺鬼は名前だけを言うと、再び聖の目を見る。
吸い込まれそうな、何処か脆そうな・・・
「あの、本当に天音皐月さんですか?」
思わぬ言葉に驚く。
皐月は聖と関わった覚えがない。もし関わっていたなら今の自分に受け継がれる筈だ。
それとも本の一時の関わりで受け継ぎ損なったのか?
継承不慮なら修正しなくてはならない。今新たに聖の事を己に書き綴らなければ・・・
聖の額に手を乗せようとした時だ。
「おい、睨めっこはそこまでにしろ。」
絆が紅茶の入ったコップを押し付けてきた。
「取り敢えず、飲め。」
二人とも無言のままそれを飲んだ。
「で、何でまたウチに来たいなんて言ったんだ?」
「調べ物だ。」
「何を調べるんですか?」
おどおどしながら聖も質問する。
「絆の身の周りの不思議についてだ。」
「兄さんの?」
「ああ」
殺鬼は事情を聖に話す。話さなくても解っていただろうが此処は説明すべきだろう。
「何か原因となるものに覚えはあるか?」
「特にねぇな」
すると聖がうーんと考える仕草を見せた。
「如何した?」
「原因かは解らないけど・・・お兄ちゃんが不調なのって今日からですよね?」
「ああ」
二人でそう答える。
聖は少し困ったような顔をして上目遣いに答える。
「あのね、昨日学校の帰りに泡海ヶ原公園に行ったんだ。そしたらねこれを拾ったんだ・・・」
聖はリビングにあった箪笥の中から水色に輝く石のつたペンダントを出すと、
二人の前に差し出し説明を続けた。
「僕、昨日悲しい事があって、それで泡海ヶ原公園にいったんだ。
それでベンチに座ってたらこれが落ちてて・・・最初はどうしようか悩んだけど・・・
御巡りさんに渡したんだ。でも・・・そしたら御巡りさん・・・体調崩して・・・
迷惑だったらいけないから持って帰っちゃた・・・
そしたら今度はお兄ちゃんが大変な目に遭って・・・御免なさい・・・」
大きな瞳から大粒の涙が溢れ出す。
よっぽど罪悪感があったらしい。
「気にすんなよ。俺は大丈夫だから・・・な?」
「で・・・・でも・・・」
「大丈夫だからもう泣くなよ」
微笑ましい光景だ。兄弟が互いを大事に思い合い、支え合っている。
自分もああなりたかったと無意識の内に思っていたが気の迷いだと誤魔化す。
「絆、聖、これ貰っても良いか?」
「え!?」
殺鬼の言葉に驚く聖。
「もしかしたら絆の不思議現象が無くなるかも知れない」
「で、でももしそれで天音さんが大変な目に遭ったら・・・」
「大丈夫だ。」
「兄さんも何か言ってよ!」
「・・・・・・天音が良いなら良いんじゃねぇの?」
「兄さん!?」
「けど、無理すんなよ?危ないと思ったらそんな物騒な物、捨てちまえよ?」
「ああ。」
「でも・・・」
聖が不安そうな表情で見る。
殺鬼は手を聖の頭に乗せ、軽く撫でる。
「大丈夫だ。私は運になど負けない・・・。」
「本当ですか?」
「ああ。それと・・・少し、良いか?」
「?はい・・・」
聖がそう言うと殺鬼の聖の頭に乗せた手が圧力をかける様に重くなる。
瞬間、聖の意識が遠のく。
殺鬼の脳内に皐月と聖との出会いが再生される。

聖は泡海ヶ原公園の片隅で泣いている。
どうやら怪我をしているらしい。
『う・・・・くっ・・・・・・痛いっ・・・痛いよぉ・・・・・・
何で・・・・・僕は何も悪い事・・・・・・・・・してないのに・・・・・・・』
『ねぇ、君そんな所で何してるの?』
(成程・・・この時に接触したと言う訳か・・・)
『何処か痛いの?』
少し怯え気味に聖が答える。
『だ、大丈夫・・・です・・・』
『あ』
『!?』
『足、見せて!』
『え?あ!?』
『やっぱり怪我してる!早く手当てしないと・・・』
そう言うと皐月は聖の足にハンカチを巻いた。
『これで良し!今度は気をつけてね!』
『あ、有難う御座います・・・』
皐月の優しさに心を開きつつ、聖が訊く。
『あの、お姉さんは何か悩み事とかあるの?』
皐月は少し間を置いて答える。
『私ね・・・お母さんに嫌われてるの・・・』
『え!?』
想定外の回答に戸惑う。
こんな事を言われても小学生の心は痛むだけでどう言えば良いのかさっぱり解らない。
皐月はそんな聖の顔を見て少し優しく話す。
『理由は解らないの。何故嫌われているのか・・・・お母さんと居るのは正直辛い・・・。』
少し息を吐いて続ける。
『だから殆どお母さんとは話さないの・・・御免ね、こんな話して・・・』
『良いんです。僕が話してって言ったんだし・・・。』
『さて、そろそろ帰らないと・・・』
『あ、あの・・・』
『何?』
『名前、教えて下さい・・・』
皐月は少し照れて自分の名前を言った。
『私は天音皐月!君は?』
笑顔で答える皐月に照れて聖も言う。
『僕は、草凪聖・・・・です!』
そこで二人の接触した記憶が途絶えた。

「成程・・・そういう事か・・・」

殺鬼が手を離すと聖は我に返る。
「さて・・・そろそろ帰るか・・・」
殺鬼が鞄を持って玄関に向かおうとして不意に絆に話しかける。
「絆、・・・紅茶、旨かったぞ」
絆は少し照れているが殺鬼は絆の方を見ていないのでそれは解らない。
「あ、ああ。そりゃ良かった」
「また明日、な。」

「さて、問題が一つ解決した所で・・・・」
草凪家を出て少し歩くと不意に殺鬼が黒衣に身を包む。
日本刀を片手に誰も居ない筈のその場所に話しかける。
「好い加減出て来たらどうだ?」
返答は無い。殺鬼は日本刀を構えて言う。
「・・・出て来ないのならこちらから行くぞ!」
すると何かの気配を感じ咄嗟にその方向に日本刀を向ける。
木の枝から女が降って来た。
女はナイフを片手に殺鬼に襲い掛かって来た。
殺鬼はナイフによる攻撃を日本刀で防ぐと無防備な女の腹を勢い良く蹴る。
吹っ飛んだ女の体を一太刀で切り刻む。
あっさり片付いてしまった事に拍子抜けしたのか散らばった女の体の一部を見る。
「-これは・・・人形?」
それはよりリアルに作られた人形だった。血も出なければ臓物も無い。
あるのは外見の形だけ。
不意に人形の顔が笑った。
「掛かったな・・・」
「!?」
すると先程切り落とした人形の腕が後ろから飛んできた。
不意打ちだったせいか振り向く前に人形の手に腕を掴まれた。
前方からはもう一本の腕がナイフを持って突進して来る。
(片腕が動くなら・・・)
襲い掛かって来たナイフを片手で掴み、力強く握る。
そして足元に転がっていた人形の首を蹴り飛ばす。
そして首が吹き飛んだ方向に持っていた日本刀を投げる。
投げた日本刀が人形の額に刺さる。
あたった事を確認し、人形に近付く。
「ほう・・・そこからは血が出るのか・・・さて、質問に答えて貰おうか・・・」
そう言いながら人形を見下す殺鬼の背後から少女の声が聞こえる。
「フフフ・・・・随分乱暴なのね。天音さん。折角貴方の為に血を分けて作ったのに・・・
こんなにして・・・・・」
「!?」
人形の方を見ると人形は砂になっていた。
さっきまで人の形をしていたあの人形が今は面影すらない砂に・・・
「砂!?」
「そうよ。あの子は砂と私の血で出来てたの」
不意にある疑問が浮かんだ。殺鬼は少女に問う。
「・・・・何故お前は私の名前を知っている?何故人形で私を襲った?お前は・・・誰なんだ?」
「質問が多いわねぇ。まぁ良いわ。
人形で貴方を襲ったのは貴方の実力が知りたかったから。
貴方の名前を知ってたのは風の噂・・・かしらね。
それから私の名前は綺羅畏真龍よ。死神界の人形師をしてるの!宜しくね!」
そこまで訊くと殺鬼が再び問う。
「-・・・お前・・・人間界に居座る気か?」
真龍はふふふと笑って質問に答える。
「ええ。アッチは退屈だし・・・・此処に居た方が楽しそうだし!
何より・・・・・貴方も居るしねぇ・・・」
その言葉に一瞬呆ける。
「大丈夫!私は敵じゃない!寧ろ仲間なの!」
笑顔でそう告げる真龍。実感が沸かないのか複雑な心境の殺鬼。
「敵は・・・あの小憎たらしい天使よ!」
一瞬真龍の表情が変った事に驚くがそれ以上に考える事があった。
(仲間?コイツが?信じても良いのか・・・天使?)
数々の疑問を秘めたまま真龍の「また明日会いましょう」と言う言葉で別れた。

自宅に戻ると黒寿が部屋で本を読んでいた。
「黒寿。」
「おや、お帰り殺鬼!まだ2時間30分だよ?早いね~」
「『まだ』ではない。『もう』だ。」
黒寿のボケに突っ込みを入れると早速絆から貰ったペンダントを差し出した。
「これは何だ?」
「ん~?」
寝惚けた顔がペンダントを見て見開かれた。
「おやおや・・・何か凄いもの拾ってきたね~」
「凄い物?」
疑問を抱く殺鬼にペンダントの事を説明する。
「うん。これはね~『幸吸引石(こうきゅういんせき)』っていって人間を不幸にする石なんだ。
本来幸と不幸は平等に人間の周りに存在するんだ。
でも幸吸引石を持っていると幸を吸い取ってしまうから
これを持ってる人は忽ち不幸になるんだ!
まぁペンダントになってる所を見ると死神の落し物だろうね。」

その夜、暗い街を赤毛の少年が息を切らせて走る。
「あ~如何しよう・・・見つからないよ~・・・・僕のペンダントが・・・」
少年は一度立ち止まり息を吸う。
「このまま見つからなかったら如何しよう・・・」
今にも泣き出しそうな声で呟く。
「し、仕方無いな・・・余り使いたくなかったけど・・・・」
少年は左手を差し出し呟く。
「僕の忠実なる僕(しもべ)よ、僕の落としたペンダントを見つけて!」
その言葉を言い終わると少年の左手から何かが現れた。
「これで・・・大丈夫・・・かな?」

翌朝。
殺鬼は絆の家に迎えに行った。そして昨日何か起こったか尋ねる。
「あの後は特に何も無かったぞ。けど、今迄失くしてた物が見付かったな。」
「そうか、なら良い。」
絆の言葉に安堵すると今度は絆が殺鬼に尋ねる。
「天音は何か起きたのか?」
「いや。何も起きてない。」
結局、あれは誰の落し物なのか・・・・何故落としたのか・・・・謎は深まるばかりだった・・・・
そして今日も真龍と会わなければならない。
昨日と同じ場所に同じ時間会うと約束したからだ。
これからの事について伝えたい事があるらしいので断りもしなかったが・・・
(解らない事だらけだ・・・だが奴に会って何か謎が解けるならそれは良い事だ・・・)
その時慌しい足音が聞こえた。
「あわわわわわ!大変だ~!」
ドンッ!
「!?」
「わぁ!?」
少女漫画のワンシーンの様に見事にぶつかった。
殺鬼は考え事をしていたせいかその場に尻をつく形でこけた。相手も同様にこけた。
「天音!?大丈夫か!?」
絆の心配を他所に「ああ」と何のリアクションも無く素っ気無く答える。
少年が慌てて立ち上がり謝罪の言葉を述べる。
「わ、わわわわ!御免なさい!すすす済みません!」
混乱しているのか何度も謝っている。
「いや、私もボンヤリしてたからな。悪かったな」
「いえいえ・・・怪我はありませんか!?」
「無い。」
少年は殺鬼の言葉に安心したのか口調が落ち着いてきている。
「そ、そうですか。あの、本当に御免なさい!」
「いや、問題無い」
「そうですか?」
「ああ」
それでも矢張り謝罪の言葉は消えないが殺鬼は全く気にしていない。
突然少年が何かを思い出して声を上げる。
「あ!」
「何だ?」
「あの僕、急いでるんでそろそろ行きます!」
「ああ」
立ち去り際、少年は殺鬼の方を振り返り、笑みを浮かべて言う。
「それじゃ!」
「・・・・何だったんだ・・・・今のは?」
「おい、天音!遅刻するぞ!」
「ああ。」
殺鬼の脳内はモヤモヤしていたが今はそれどころではない。
急いで学校へ向かわなければ面倒だ。

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